goodschooldays’s blog

発達障害があるために学校や日常生活で困っている子ども達を応援するための親の会です。 らっこの会 (東村山 困っている子ども達を応援する親の会)

2012年4月12日〜14日 読売新聞 「発達障害と大学」

(1)ひきこもり 仲間と克服 … 和歌山大学


「ひきこもり回復支援プログラム」同じ悩みを乗り越えた先輩学生がサポーターとして支援にあたる。サポーターは非常勤職員として採用されることも。またサポーター自身もここで自信をつけて巣立っていけるよう大学が支援。苦しみを克服する先輩の姿が、後輩の進むべき道を示している。


(2)名入り集合写真の力 … 宮城教育大学


アスペルガー症候群と診断された男子学生。入学前、大学に支援を受けたいと申し出た。 予期せぬ事態が起きるとパニックを起こしやすい。人の顔と名前を覚えるのも苦手。同じ専攻の学生に彼の障害を伝えた。臨床心理士発達障害について説明をした後、
本人が「人の名前を覚えるのが苦手で迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」とカミングアウト。周囲の学生は名前を書き込んだ集合写真を用意。教職員のサポートに加え、仲間にも恵まれ卒業後、大学院に進学。


(3)告知して自立を後押し … 日本福祉大学


大学や社会で自立した生活を送るために支援を待つのではなく自分から要望する姿勢が必要。配慮してほしい事を本人が教員に伝える。自分自身で支援してくれるボランティアを探す。

本人に告知するメリット…「発達障害というレッテルを貼るためではなく、適切なサポートのための告知」

識字障害(LD)と小学生の時に診断された学生。「孫を障害者にするのか」と祖父母が反対し、両親は告知せずにきた。大学は告知を勧めた。診断名を知った本人「能力がないのではなく、LDと分かりほっとした。」講義は録音する許可を得て、パソコンで入力。




詳しくはhttp://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20120412-OYT8T00166.htm




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この特集記事に紹介されたような事例が増えるのは望ましいことです。

この記事に限らず、最近、大学の入試制度や大学内での支援が少しずつ進んでいることが報道されています。学齢期の発達障害児を育てている保護者にとって未来を少し明るくとらえられる内容です。

発達障害児・者への配慮や支援のしくみは発展途上にあるというより、支援の試みが始まったばかりと言って良い状況ですので、例えば入試で配慮を受けても、入学後の授業や大学生活で配慮が受けられないとすれば、それは当人にとって本当に必要な支援に繋がらず、当人の学ぶ環境が保障されたとは言えないわけで、大事なのは、配慮や支援が一時的なものだったりその場凌ぎなものでなく、その学校に在籍する間は当たり前のこととして「合理的な配慮が受けられる」環境が整うということでしょう。

昨年らっこの会が主催した上野一彦先生の講演会でも「発達障害児が大学受験特別措置を受けるにあたり、小中高の学習や試験でどのような配慮・支援を受けてきたかが重要」というお話がありました。当人にとってその配慮や支援が必要で、なおかつ、それがあったことで学習が可能になったという事実を積み重ねることの必要性をおっしゃったわけですが、これは重要なポイントですね。

配慮や支援が入試のためだけだったり、その場凌ぎのものにならないような、つまり、支援が点で終わってしまうようなものではなく、進学 → 就労 → 終身にわたって一貫して繋がりを持つようなしくみが少しずつ整うように、当事者や関係者が関係各所に働きかけてゆくことがまだまだ必要ですね。

そのような配慮や支援が当たり前に利用できるようになるまでには途方もなく長い時間がかかりそうですが、それでも目指す方向は「点で終わらない長く幅広い支援」です。

そういう意味では、この記事にあるような事例は、発達障害児・者への理解、配慮、支援が発展してゆく兆しとして嬉しい内容です。このような動きがもっともっと拡がることを期待したいですね。



担当:Misa&Cava