「教育支援人材認証協会」 第2回シンポジウム
2012年6月29日(金)小金井市民交流センターにて、
一般社団法人 教育支援人材認証協会 第2回シンポジウムが行われました。
その後、パネルディスカッション。
テーマ 『不本意児童・生徒の教育支援における教育支援人材の可能性を探る』
パネリスト
汐見 稔幸先生 同協会 副理事長/白梅学園大学 学長
星山 麻木先生 明星大学 教授
工藤 啓氏 特定非営利活動法人「育て上げ」ネット 理事長
司会
鈴木 聡先生 東京学芸大学 准教授
松田 恵示先生 東京学芸大学 教授/文部科学省 生涯学習調査官
松田先生
「不本意児童・生徒」 というのは提案的なことばとして使っている。
この子達をどう支えていくのか?
個人で解決できる問題ではなく、システムで支えることを考えなくてはいけないのではないか?
汐見先生
学校に距離をとったり、行きたいのに行けないなど、不登校児は十数万人で推移している。子どもの数が減っていることを考えると、不登校児の割合は増えていることになる。社会は進化しているはずなのになぜか?
① ファミリー・リテラシー(家族経営のスキル)獲得の不十分さ、家族の孤立、経済格差。
② 学校の相対的価値の低下。
教育を国家モデル(主体は学ばせようとする者)から師弟モデル(主体は学ぶ者)に近づける必要がある。
国家モデルが機能しなくなっており、学校の多様化の必要性がある。
<例>「ハルトムート学びの工房」(ドイツ)で実践されているワークショップ型(参加型)の学び=子どもが主体の学び
多様な学校の法制化が急がれている。
生物の多様性が叫ばれるのに、教育の多様性の必要性が言われていないのは、私達がまだまだ本気じゃないということだ。
保育士を育成する場合、「コミュニティーソーシャルワーカー」のような「保育ソーシャルワーカー」が必要になっている。
例えばうつ病の母親のもとで登園できない状態の子どもを迎えにいって、母親を必要なところに繋ぐという役割が出来る。
協会の認定講座ではソーシャルワーク的技法を学ぶことが出来ると思う。当人の自己実現の手助けとして、どこまで何をするかを判断出来ないといけない。
星山先生
多摩ニュータウンで支援を行っているが、支援が必要な子どもが全体の10%から多いと40%位いると感じる。
母親や家族への支援がなく、ほおっておかれる子ども達がいる。
日本の支援は対症療法的。就学後では手遅れで、就学前に支援が必要な子ども達もいる。
大学で学生にアンケートをとると、自尊感情の低い学生がとても多い。
発達障害・不登校児支援サークル スマイリーの紹介 → 地域リーダーや専門性の高いコーディネーターが育った。
人材の循環が重要 学ぶ立場 → 教える立場 → 人材が繋がるシステム それは子ども達への贈り物。
一番不足しているのは「子どもを理解すること」だと感じる。特に「先生」そして「両親」。子どもは多様である。
工藤氏
ニートの人達6000人分のストーリーに立ち会ってきた。
困ってしまう可能性の高い人達。
その中には、生活保護家庭やシングルマザーのもとで育つ子ども達も。
「一言で相手の人生を破壊する可能性があることを理解する人材」「支援する相手と一生付き合う覚悟が持てる人材」、
「相手が来ることを待たない。迎えに行くような人材」、「サービスを提供する相手はお金を支払えない状況にあるため、
共感者や出資者を見つけて来られる人材」「生活保護世帯などの子ども達との接点を持ったことがある人材」が必要。
様々な人達を相手にするので、支援者個人だけで対応するのではなく、システム、団体として対応する。
家族や地域が機能しないところに生まれてきた子ども達のセイフティーネットを作る。
学校内で給食室の職員が問題を抱えている子どものことを知っていたりすることがある。
家庭で食事が満足に出来ないため、給食が命綱だったりする。
松田先生
かかわることは出会うこと。出会うことは学ぶことと似ている。それが新しいことに踏み出す勇気になるのではないか。