NPO星槎教育研究所主催 発達支援研修会 報告 2011年2月11日
「ソーシャルスキルトレーニング 〜 アセスメントに基づくSST」
「ソーシャルスキルトレーニング」
特別支援教育士 高田美香先生
まず、高田先生によるソーシャルスキルトレーニングのお話がありました。
ソーシャルスキルというのは、ライフスキル(どの時代、どの文化社会においても人間として生きていくために必要な力)の中の1つで、ソーシャルスキルトレーニング(SST)というのは「対人行動の障害やつまずきを持つ人に対して、必要な社会的スキルを積極的に学習させながら、それらの障害やつまずきを改善しようとするトレーニング」。
このSSTが、定義にあるとおり、障害やつまずきのある特定の子ども達だけに必要なものかというと、そうではなく、「一人ひとりはとてもいい子なのだが、集団だと流される」傾向のある今の子ども達みんなに必要な状況がある。
その背景には現代の社会の在り方などが関わっていると考えられる。
SSTを効果的にするには、専門的な指導を受けること、また家庭ではその子どもを励まし、受け止める(その子が抱える背景を理解する)こと、共感を示すことが大切で、「〜でなくてはならない」という縛りを与えすぎると定着しなかったり、日常生活で応用がきかない。
励まし、受け止めて、共感を示す、出来そうでなかなか難しいですね、これが。
「アセスメント」
NPOフトゥーロ LD発達相談センターかながわ 鈴木弦先生
続いて後半は鈴木先生によるアセスメントのお話でした。
アセスメントとは、支援を必要としている児・者の状態像を理解するために、その人に関する情報をさまざまな角度から集め、その結果を総合的に、整理、解釈していく過程。また、問題は何か、問題の背景にあるのは何か、どのようなニーズを持っているのか、優れている能力を把握する過程。
これは「LD・ADHD関連用語集(LD学会編)」による定義だそうです。
発達障害といわれる障害の種類によって、異なる対応をいろいろ紹介してくださいました。
<AD/HDタイプ>
エネルギーをポジティブな行動、社会的に良い行動につなげる。
<PDD(広汎性発達障害)タイプ>
見えないことを見えるように環境調整をする。また、何をすればいいかを明確にして自発的な行動を促す。
見えないものというのは、時間、場所、予定、手順のようなもので、見通しを立て不安をやわらげたり、今やること、次にやること、終わりを1つずつ具体的に示す。
自発的な行動を促すというのは、禁止的な伝え方をすると八方ふさがりに感じやすいので、「立ち歩くな」ではなく「椅子に座って聞こうね」と、良い行動を促す声かけをする。
次に、心理検査のWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)についての解説がありました。ここでは詳しくご紹介しませんが、鈴木先生の解説は手短かでありながらとても分かりやすく参考になりました。
いろいろな「苦手」を抱えている子ども達のために、SSTとして面白いゲームも紹介して頂きました。今後、らっこの会でもこんなゲームを楽しみながら、子ども達が生活に必要なスキルを少しずつ身につけられたら良いなぁと、今後の企画の種を見つけました。
最後に先生からのメッセージです。
大人の困り感に寄り添うことを目的にするのではなく、子どもの困り感に寄り添うこと。
失敗しても「フォローしてくれる」「いいアドバイスがもらえる」と、子どもが安心を感じられること。
うまくいったときは「たくさんほめてもらえる」「喜んでもらえる」という期待を持てるように。
「やらせる」ではなく「やってみよう!」の精神で。
みなさん、参考になりましたでしょうか?