goodschooldays’s blog

発達障害があるために学校や日常生活で困っている子ども達を応援するための親の会です。 らっこの会 (東村山 困っている子ども達を応援する親の会)

佐々木正美先生講演会in練馬区 2011年10月2日

2011年10月2日、練馬区立勤労福祉会館で行われた佐々木正美先生の講演会「自閉症の人が地域で生活するために」に参加しました。


佐々木先生のお話は一貫して発達障害のある子ども達とその保護者への温かいまなざしが感じられ、拝聴した後、とても安らかな気持ちになりました。

また、この講演会が、多くの団体(日曜クラブta-a-ta、NPO法人 I am OKの会、NPO法人 手をつなご、(社)正夢の会、NPO法人自閉症協会)の共催であるという点も素晴らしいと思いました。練馬区には既にこのようなネットワークがあるのですね。


質問の時間に手を挙げて「登校しぶりが続くアスペルガータイプの小学生の男子ですが、半年後には高学年になります。どんな中学校、どんな学級への進学を勧められますか」と伺いましたら、講演会終了後に数人の保護者の方々から声をかけて頂き、練馬区での支援の状況など伺うことが出来ました。


副題「理解者に恵まれて、弱点を修正するのではなく、長所を伸ばす」が示す通り、発達障害のある彼らは得意なところや長所を伸ばせる環境においてあげることが大切で、弱点を修正するのではない、修正はできないし、みんなと同じことを同じように出来る必要はないのだと先生はおっしゃいました。


学校生活の中ではみんなの中でなるべく「浮かないように」、先生も親も仕向けたくなります。授業中疲れて寝てしまっても、周りに迷惑がかからず、眠ればまた活力が復活して学校生活が継続出来たらそれで良いのではないかと思ったりもするのですが、担任の先生としては、その状態のまま進級することに危惧を覚えて、そのような態度のままでいることは本人にとって「不利である」と考えておられます。こういう場合は先生とどのように連携して、本人が学校に楽しく通えるようにしたら良いでしょう?


佐々木先生のお話の中から印象に残ったことを何点か書いてみます。そして、そこから自分で答えを見つけなくてはならないと思います。

注:( )内は筆者による注釈

ひきこもりや犯罪にかかわった人達の場合、普通級だけで特別な支援を受けてきていないことがある。一見(障害の度合いが)軽く見えていたからなのだが、軽いから楽だということにはならない。

自分(恐らく保護者や支援者)が理解して周りに(彼らの特性を)知らせる必要がある。

本人達を周りに合わせさせると彼らは傷ついて疲れてしまう。

理解者がいない状況では彼らは不幸になってしまう。

例えばアスペルガーの人はアスペルガーのまま生きてゆける社会にする。周りが寄り添う。彼らが安心して学び働くことが出来るようにする。そのために周りが努力するべき。日本では本人に努力をさせてきたでしょう?こちら(健常者)が努力してください。

登校しぶりについて。とても重要なこと。行きたくないところへ行かせて、行けるようになったように見えても、行けば行くほど後遺症を大きくする(が〜ん!)。興味関心が持てるような環境調整をする。40年仕事をしてきて確かに言えることは、彼らをより辛い環境に置かないこと。失敗をさせない。子どもの身になってあげること。父や母や先生の身になれと言ってはいけない。(ががーん、年中言ってるかも。。)子どもを保護してあげてください。楽しく学校生活を過ごせるように心を砕いてください。


もうここまで拝聴して考え込んでしまいました。

ある担任の先生(特別支援コーディネーターでした)は「お母様、たくさん失敗させて学ばせてあげましょうよ」って笑顔でおっしゃってましたっけ。

発達障害児の保護者として、当時、新米だった私でも、その言葉に強い違和感を感じたものでしたが、佐々木先生にきっぱりと「失敗させない」とおっしゃられると、本当に考え込んでしまいます。

難しいなぁ。過保護だと思われるよなぁ。

アスペルガー児の母としてまだ3年生ですが、佐々木先生がおっしゃる意味はよく分かっているつもりです。失敗から学びにくい子ども達がいることは既に理解しているつもりです。

けれども、それを教育現場の先生方にどうしたら分かって頂けて、どんな連携がとれるのか?

1クラス40人近く児童がいる学校生活の中でどこまで環境調整が出来るのか?


「学校はどんな子にとっても楽しいだけの場所ではない」というのは良く言われることですが、学校での楽しさを実感しにくくて、毎日学校に行きたがらない発達障害児に必要なのが、ずばり、特別支援という名の「配慮」とか「環境調整」なのでしょうけれど、具体的に何が出来るのか、そういうノウハウが学校現場にはまだまったく蓄積されておりません。

が、佐々木先生もおっしゃっておられるのですから、保護者としては前進あるのみですね。配慮や環境調整を当たり前のことと捉えて、なおかつ先生方の置かれている状況も配慮しつつ、具体的な提案をしてゆく。そういうことでしょうか。


さて、情報です。

朝日新聞社が13家族の協力を得て制作した、自閉症の人が見ている世界を紹介している3巻セットのDVDがあるそうです。佐々木先生が監修をしておられて、「彼らは関心や興味が狭いけれど深い」ことが分かりますとのことでした。

朝日福祉ガイドDVD「自閉症の人が見ている世界〜自閉症の人を正しく理解する〜」(朝日新聞厚生文化事業団) http://www.asahi-welfare.or.jp/info/2011/dvdautism-miteirusekai.html


まだまだ勉強すること、出来ることがありそうです。

佐々木先生のHP「ぶどうの木」もご紹介くださいました。
http://www.budouno-ki.net/