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発達障害があるために学校や日常生活で困っている子ども達を応援するための親の会です。 らっこの会 (東村山 困っている子ども達を応援する親の会)

『いじめを本気で減らすために、これから出来ることは?』 行政懇談会報告

2015 年7月14日(火)、「いじめ・不登校の原因とその対策について」というテーマで東村山市教育部の皆さまとの懇談会を行いました。指導室谷口統括指導主事、教育支援課大西課長、教育支援課小向課長補佐がご出席くださり、「らっこの会」からは5名が出席しました。26年12月の教育部懇談会、27年1月の市長懇談会(教育部長ならびに子ども家庭部長もご出席)から、約半年ぶりの行政懇談会でした。



身近なところで起きているいじめから分かることは、「加害する側が、なぜいじめをするのか」という点に注目することが問題解決への鍵だということ、また、現在行われている喧嘩両成敗的な、謝罪文や反省文を書かせる、当事者同士での話し合いをさせるなどの指導はいじめを減らすためにはあまり有効ではないということです。



いじめをする児童・生徒が安心して気持ちを表出し、それを受けとめてくれる人が居る場所を作る、また、クラスの人数を減らしたり、地域の方々に学校にかかわって頂く必要があると私達は感じています。そのことを今回の懇談会では特にお伝えしたいと考えていました。



当日は、まず、市の取り組みについて説明して頂きました。以下抜粋です。



■ 25年9月の「いじめ防止対策推進法制定」を受け、当市でも取り組みを開始。しかし26年度のいじめ認知件数は前年度比で倍増。いじめ防止への理解が進んだために認知件数が上がった、つまり顕在化してきたと捉えている。


■ 毎月、学校からいじめの調査報告があがってくる。生徒対象のアンケートは年3回。毎月やると、形骸化してしまう可能性があるため。記名式・無記名式の両方を実施。その他、学校独自に行っているものもある。


■ いじめ調査アンケートから読み取れるいじめの原因は「本人のストレス」、「子ども同士が互いを大切にしていない」、「思いやり、人権意識の欠如」、「学校の努力不足」、「親子関係」など、複合的に絡み合っている。



■ 指導室としては件数減を目標にしている。教員のいじめ感知精度を上げる努力をする。保護者には情報提供をお願いしている。当事者ではない地域の方々からの情報提供が増えており、早期発見のために役立っている。



次に、「らっこの会」からの質問にお答え頂きました。以下抜粋です。



Q いじめのアンケート調査とはどういうものか。
A 東京都が実施している子ども対象、教員対象のものを集約したもの。生活指導主任会での聞き取りもしている。いじめのほか、問題行動についても市独自で把握している。

Q フィードバックはされているか。
A 問題が継続しているものに関しては、生活指導主任会の顧問校長を通じて校長会で情報を共有している。指導主事から校長会で報告することもある。基本的にA中学で起きたいじめはA中学で解決すべきだが、共有する意図は良い事例や上手くいかなかった事例を以後の取り組みに役立てるため。

Q 幼児相談や教育相談(以下幼相・教相)と繋がっていた児童・生徒の中で相談が継続せず、後に問題行動を起こしている例がある。相談が中断したときの対応、フォローをどうしていくかを考えて頂きたい。
A 相談室に来なくなった児童・生徒のフォローはどこがするのかという問題がある。教相か、学校か。網を張る必要は感じている。

Q 地域の皆さんにどのように協力して頂けるか一緒に考えて頂きたい。
A 個人情報保護などの観点で難しいこともあるが、方法は探っていきたい。




最後に、意見交換を行いました。



【らっこ】子どもが見知らぬ中高生風の男性から下校中にいきなり蹴られる被害にあった。防犯情報としてメール周知の対象としても良いのではないか。警察は「相手が未成年だから。仕返しがあるかもしれない」と躊躇していたが、防犯の観点から出来る範囲で情報提供はして頂きたい。



【らっこ】学校でのいじめについては、加害者が特定されていない場合でも、いじめがあることをクラスの保護者に知らせて欲しい。



【らっこ】保護者会で、発達障害の子にどう対応すれば良いのか、家庭でどんな話をすれば良いのか分からないという発言があった。校長からは「マニュアルを作ることは出来ないので都度対応していくしかない」という回答。発達障害のある児童・生徒が標的になりやすいいじめに関して、親子でどう話し合えば良いのか分からない家庭が多いように感じる。



【らっこ】発達障害児はいじめの対象、または加害側にもなりやすい面がある。例えばフローチャートなど作成し、いじめ被害・加害の相談先を周知するなど、保護者の行動指針があると良い。



【所管】個別に伝えるのが一番良いが、伝わらないこともある。有効な方法を見つけるのは難しい。保護者会で校長が都度対応していくと言ったのは、そういう意味があったのかもしれない。



【所管】スクールソーシャルワーカー不登校対策として配置。今月、各家庭へ周知予定。



【らっこ】合理的配慮について。差別解消法の施行により、学校現場が委縮して支援が狭められる懸念はないか。



【所管】現場が構えすぎないように、今までやってきた配慮も合理的配慮であることを現場に周知する必要を感じる。



【らっこ】先生方が配慮や差別の事例について勉強出来る機会を作って頂きたい。



【らっこ】被害者が証拠集めをしなければ認知されないいじめもある。



【所管】いじめ認知件数のカウント方法は昨年度途中から都のアンケートを使用する形に変わった。それまでは学校独自で集めた数字が教委にあがってきた。子どもから訴えがあったもの、教員が気づいたもの。



【らっこ】学校が密室化していると感じる。クラスという狭い枠のなかで子どもたちのストレスが溜まってくると、はけ口にされるのは「少し浮いている子ども」ではないか。学校で町内会の会議を開けるようにするなど地域に開いて、常に地域の人達が学校に出入りする仕組みを作った自治体もある。



毎回、快く対話の場を設けてくださる所管の皆様に感謝しております。

いじめが起きてからの対応や支援だけでなく、起きる前に動ける仕組みを作るためにも、地域に眠る力を生かし、すべての子ども達の育ちを支えられる街になるよう、所管の皆様との対話を重ねることをはじめとして私達に出来ることを模索してゆきます。


担当 MS MK